一人で抱え込まない

 

家族の介護の問題としてまず取り上げられるのが、誰がその役割を担うかということです。現実に多いのは同居している人か、お年寄り本人と一番深く接してきた人が介護するというケースです。

 

ここで大切なのが、一人あるいは一つの家族に介護を任せて苦労を一手に集中させないことです。

 

お年寄りに関わる人を一人でも多く、その情報を共有していくことが重要になります。例え離れて暮らしていても、メールやFAXなど相手の時間を気にせず連絡できる手段を普段から活用し、いつも気にかけているという姿勢が伝われば、お年寄りも介護している人も精神面で救われることが多くなるでしょう。

 

お年寄りがそれまでに築いてきた人間関係を大切にするという意味でも、周囲の人たちのつながりは良好に保っておきたいものです。

 

お年寄りを介護する人(主たる介護者)が決まったら、その人の負担をできるだけ軽減させる対策も考えなくてはいけません。

 

介護者の中には苦労を見せずに頑張りすぎる人もいますが、見えない部分でいつか必ず歪みが出てきてしまいます。

 

気が安らぐことのない毎日の中で一時的にでも気持ちを解放するためには、物理的にお年寄りから離れて自分のための時間を確保するのが一番です。

 

介護に費やされる時間の合間を縫って、趣味や好きなことに没頭することは、手抜きでもわがままでもないのです。

 

自分だけでなく介護される人のためにも、介護者が心身ともに健康でいることが何より大切なことです。

 

実際に介護が始まると、家族の中で考え方の相違が出てくることもあると思います。そんな時、限られた人だけで介護をして行き詰っていると正常な判断ができません。

 

一人、あるいは一つの家族だけで決めずに、お年寄りと関わっているできるだけ多くの人と話し合う方が冷静な判断ができるでしょう。

 

毎日の介護の中で話し合いの時間をとることは容易ではありませんが、困ったときほど一人で抱え込まずに人と話すようにしましょう。