介護の話し合いで大切なこと

 

苦労の多い親の介護ですが、年老いた親の介護をどのように進めるかを話し合う中で、陥りがちな落とし穴は介護されるお年寄りの意向を見失ってしまうことです。

 

切羽詰った状況の中、介護に当たる人たちで話し合っていると、自分たちのできることやできないことに議論が集中し、肝心のお年寄りの意向が話し合いの中心からそれてしまうことがあります。

 

お年寄りとの接点がそれぞれに違ったり、介護に当たる時間も一人一人違うため、話し合いの場では互いに遠慮したり疑心暗鬼になることもあるでしょうが、年老いた親にとって望ましいことは何かという共通認識から離れないことが大切です。

 

家族がよかれと思って判断したことでも、介護される本人の納得がなければいずれ大きな隔たりとなってしまうでしょう。

 

親の立場から考えるとどうでしょうか。子ども達が親の介護について相談することは、頼もしく感じる反面、何か寂しさや申し訳ないという思いもあるでしょう。そのため、親としては自分の希望を素直に子ども達に伝えにくい部分があるかもしれません。

 

子どもの立場として親への愛情や感謝の気持ちから、最後まできちんとお世話をしたいという思いを基盤に話し合うのですが、それが親の重荷になってしまうこともあります。

 

今はまだピンピンと元気な親に将来の介護の話をするのもなかなかきっかけがつかみづらいでしょうが、切羽詰った状況になる前に、本人の意向を聞いておくとよいかと思います。

 

知り合いの例を出したり、子ども自身が将来年老いたときの話を出したりしながら、それとなく親の考えを把握しておくのもよいでしょう。

 

実際に介護生活が始まると苦労ばかりが圧し掛かり、親の気持ちには正面から向き合う余裕が持てなくなる人が多いです。

 

少しでも介護者の心にゆとりがあるうちに、親の気持ちを自分の身に置き換えて察し、どんな暮らしがよいのかを判断することが大切です。